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安藤貴裕さん Takahiro Ando

*国内トップレベルのラテアート*

「コーヒーに生きる人々」4人目の紹介は1986年北九州市生まれ・福岡在住歴28年の安藤貴裕さんです。ラテアートの高い技術を持つバリスタとして今やその名は全国区。カプチーノやカフェラテは抽出したエスプレッソに温めたミルクを注いで作られる。注ぎ込む際の「動きひとつ」で瞬時に表面にデザインを描き、ドリンクに華を添えるのが「ラテアート」と呼ばれるバリスタの技術だ。ラテアートがきっかけでバリスタを目指す人も少なくないがそう簡単に出来るものではない。やってみてはじめてその難しさがわかる。安藤さんは数々のラテアートコンペティションでその確かな技術が評価され、入賞を果たしている福岡の若きバリスタだ。まずは福岡の魅力を聞いてみた。「関東や関西に比べるとコーヒー店が密集していて横のつながりが強い。お客さんとも距離感が近いところ」だという。福岡がより住みやすい街になるには?と質問すると「タクシーなどの運転マナーはあまり良くない。どんなに忙しくても歩行者のことを考えた運転を心掛けてくれたら」と話してくれた。

*きっかけは一軒のお店*

安藤さんがコーヒーに目覚めたきっかけを聞いてみた。すると大学時代に一軒のカフェに出会った話をしてくれた。残念ながら今はもう閉店したが大名に「デミタス」という店があった。当時には珍しくテーブル席がないスタンドスタイルでエスプレッソを飲ませた店だ。尚且つラテアートのデザインを売りに価格も変えていた。「こんな世界があるのか」と感銘を受け、次第にコーヒーとラテアートの魅力にはまっていく。たくさんの店を訪れ、カフェスタイルの店が持つ雰囲気とそこで生き生きと働く人の姿に魅了され、ついにはコーヒーを仕事にした。

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*オリジナルデザイン「あんどり」*

安藤さんが勤める「タウンスクエア・コーヒーロースターズ」は世界各地のコーヒーを取り揃えるロースターカフェだ。広々とした店内の奥に大きな焙煎機が置かれ、カフェスペースを併設している。安藤さんにコーヒーをお願いすると、エスプレッソマシンを前にスピーディな動きであっという間にカフェラテを完成させてくれた。表面にはオリジナルデザインの「あんどり」。オリジナリティがこれほど高く美しいデザインはそうないものだ。もちろん難易度も高いはずだが完成度はさすがのもの。しかし飲むのはもったいないと眺めてばかりではいけない。美しいアートが描けるほどきめ細かくスチーミングされたミルクは空気を抱き込み、口当たりが絶品になる。美味しさもひとしおだ。「目で楽しみ、舌で味わうことのできる一杯」をぜひお店で体験してもらいたい。

後編もお楽しみに!

文・写真 山口美奈子

*店舗情報*
「タウンスクエア・コーヒーロースターズ」
住所:福岡市博多区千代1-17-1
電話:092-631-8261
営業時間 平日:8:00~19:00 土日祝:8:00~18:00
定休日なし 年末年始のみ