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田原照淳さん Terukiyo Tahara
*正確さとスピード勝負*
田原さんが優勝した「ジャパン・カップテイスターズ・チャンピオンシップ」は制限時間8分間で8問の問題に挑み、その正解数とタイムを競う大会だ。1問につき3つのコーヒーが用意され、その中に1つ混じる違う種類のコーヒーを当てる。難易度が上がると同じ生産エリアの農園違いや、同じ農園の精製処理違いといった超難問が出題される。ごくわずかな味の差を正確に識別するスキルと、尚且つスピードが求められる競技だ。

*世界の常識を破るタイム*
今年の日本大会では全問正解者が3名いた。まさかの1分台をマークした田原さんが2位と18秒の差で見事優勝した。並べられた24個のコーヒーの味をとるのに1つ当たり5秒もかからない計算になる。「2分前半で全問正解」という世界大会の常識さえ超えた信じられないタイムだ。それほどタイムを意識せず、決勝の舞台に立った瞬間に一気に出たアドレナリンと物凄い集中力で挑んだ結果だという。

*「量より質」重視の練習にシフト*
以前は日に何度も模擬練習の回数を重ねたが、今年は1日1回に絞って大会に挑んだ。苦手な組み合わせを重点的に、正解数の精度とスピードを上げることに注力したという。本番を迎えるまでの練習回数は60回を超えた。「50分費やして用意した問題をたった2分で解きます」と笑っていた。

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*勝つことへのこだわり*
勝負に挑む時「何が何でも頂上を取る!」というマインドの強さが重要だという。今年は家族の具合が悪く、自分の無力さを感じたと話す田原さん。その時自分に出来るのは本業で結果を残して期待に応えることだと初めて「誰かの為に」という気持ちで大会に取り組んだ。これまで自分の野心の為に挑戦していたし、勝てるかも…なんていう雑念が湧いたらやはり勝てない、と胸のうちを打ち明かしてくれた。
世界に向けて意気込みを聞いてみた。すると「世界一しかない!」と返ってきた。自分にしか出来ない、自分だから出来ることをやり通したいと目を輝かしていた。

田原さんのマインドが世界を魅了する日はそう遠くないかもしれません。

文・写真 山口美奈子

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*店舗情報*
自家焙煎珈琲「蘭館」
太宰府市五条1-15-10 太宰府駅より徒歩3分
電話:092-925-7503
営業時間:10:00~19:00
定休日:なし