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田原照淳さん Terukiyo Tahara
*老舗を引き継ぐ二代目*
1975年福岡県太宰府市生まれ、福岡在住38年の田原さんは両親が36年前に創業した自家焙煎の喫茶店「蘭館」で腕を振るう。今でこそ再ブームの喫茶店だが、昔ながらの雰囲気を残す純喫茶は年を重ねる毎に減っている。時代が移り変わっても愛されてきた老舗喫茶店の二代目マスターの田原さんに今回話を聞いた。

聞けばデパート勤務の頃にサービスの基本を学んだという。現役のお母様とともにカウンターに並び、お客との会話を弾ませながら、注文が入れば手際よくコーヒーを淹れていく。その流れるような動きには無駄がなく、所作の美しさに目を奪われてしまう。

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*すべてに光る熟練の業*
厳選したコーヒー豆をドイツ・プロバット社の焙煎機で自ら焙煎する。常時20種類以上のコーヒーがずらりとカウンターに並び、思い思いにオーダーするお客の注文に一杯ずつネルドリップしたコーヒーで応える。

この日、ニカラグアのCOE(国際的な審査会の認証コーヒー)を贅沢にブレンドしたコーヒーを頂いた。カップに注がれたコーヒーはすっきりとした味わいで、ワイニ―なフレーバーを感じる。少し冷めた時に感じるその甘さにはきっと誰もが驚くはずだ。田原さんの渾身の一杯をぜひお店で体験してほしい。

*日本代表として挑む世界大会*
先月9月「ジャパン・カップテイスターズ・チャンピオンシップ2014」で二度目の日本一に輝いた田原さんは来年6月スウェーデンで開催される世界大会に挑む。
2011年には世界3位の好成績を残したが「頂上を取らなければ意味がない」という。静かに語るその言葉の中に並ならぬ決意を感じる。リベンジの気持ちで勝ち取った世界大会出場の切符にかける思いの大きさは計り知れない。

後編では、挑戦を続ける田原さんの心意気をご紹介します。お楽しみに!

文・写真 山口美奈子

*店舗情報*
自家焙煎珈琲「蘭館」
太宰府市五条1-15-10 太宰府駅より徒歩3分
電話:092-925-7503